傾き $m$ と切片 $n$ とすると、直線は以下のような方程式で表すことができます。 \[y = mx +n\] 直線の通る2点 $A(x_{1}, y_{1})$ と $B(x_{2}, y_{2})$ で方程式を表すと、以下のようになります。 \[y - y_{1}= \dfrac{y_{2}-y_{1}}{x_{2}-x_{1}}(x-x_{1})\] 直線  上のグラフを見ると、xy平面上の2点 $A(x_{1}, y_{1})$ と $B(x_{2}, y_{2})$を通る直線の傾きが $m = \dfrac{y_{2}-y_{1}}{x_{2}-x_{1}}$ となるのが分かると思います。この直線は $A(x_{1}, y_{1})$ を通るので、$y$ からは $y_{1}$ を、$x$ からは $x_{1}$ を引きます。また、この直線は $B(x_{2}, y_{2})$ も通りますので、この $x_{1}$ と $y_{1}$ を、$x_{2}$ と $y_{2}$ に変えても構いません。  しかし、直線の方程式は傾きが $0$ の時、つまり $m=0$ の時は $y = b$ となります。これは下のグラフのように、x軸に対して並行な直線になります。 直線  x軸に対して並行な直線があるなら、y軸に対して平行な直線もありますね。この直線の式は $x = k$ の形で表され、下のグラフのようになります。 直線 直線の方程式は、$y = mx +n$ と $x = k$ となることは分かりましたが、さらに一般的な表し方があります。 \[ax + by + c = 0  (a, b, c は定数)\] この方程式は、$y = mx +n$ と $x = k$ の両方を表すことができます。$y=0$ の時、上の方程式は $x = \dfrac{c}{a}$ となります。ここで、 $\dfrac{c}{a} = k$ とおくと、$x = k$ となります。 また、 $x \neq 0$、 $y \neq 0$ の時、 上の方程式は $y = -\dfrac{a}{b}x-\dfrac{c}{b}$ となります。ここで、 $-\dfrac{a}{b} = m$、$-\dfrac{c}{b} = n$ とおくと、 $y = mx +n$ となります。 二つの方程式を、より一般的な1つの式で表すことができました。
 直線と同じように、円も方程式で表すことができます。円の方程式は以下のようになります。 \[(x-a)^2 + (y-b)^2 = r^2 (中心C(a,b), 半径r) \] $C(a, b)$ は円の中心を表すものなので、 $a, b$ は定数です。動点 $P(x, y)$ は、中心点からの距離 $r$ を保ちながら、円周上を動く点とします。これを図に表すと、以下のようにxy平面上の円になりますね。 円  中心 $C$ と動点 $P$ の距離 $CP$ は、半径 $r$ になります。$C$ と $P$ の二点間の距離は $CP = r = \sqrt{(x-a)^2 + (y-b)^2}$ です。この式の中辺と右辺を2乗すると、円の方程式 $(x-a)^2 + (y-b)^2 = r^2$ になります。  中心 $C$ の座標が $(0, 0)$ のとき、つまり原点 $(0, 0)$ を通るとき、円の式は $x^2 + y^2 = r^2$ になることが分かると思います。 円 円の方程式も直線の方程式と同様に、さらに一般化した式で表すことができます。次の式を見てみてください。 \[x^2 + y^2 + \alpha x + \beta y + \gamma = 0  (\alpha, \beta, \gamma: 定数)\] これも円の方程式です。この式を変換すると $(x-a)^2 + (y-b)^2 = r^2$ の形になります。確認してみましょう。 $(x^2 + \alpha x) + (y^2 + \beta y) = -\gamma$ $(x + \dfrac{\alpha}{2})^2 - \dfrac{\alpha^2}{4} + (y + \dfrac{\beta}{2})^2 - \dfrac{\beta^2}{4}= -\gamma$ $(x + \dfrac{\alpha}{2})^2 + (y + \dfrac{\beta}{2})^2 = -\gamma + \dfrac{\alpha^2}{4} + \dfrac{\beta^2}{4} $  ここで、最初に学んだ円の方程式 $(x-a)^2 + (y-b)^2 = r^2$ と見比べてみましょう。まず、左辺を見比べてみると $a = -\dfrac{\alpha}{2}$、 $b = -\dfrac{\beta}{2}$ になりますね。つまり、中心 $C$ は $(-\dfrac{\alpha}{2}$、 $-\dfrac{\beta}{2})$ となります。 次に、右辺を比べてみると、 $r^2 = -\gamma + \dfrac{\alpha^2}{4} + \dfrac{\beta^2}{4} (\gt 0)$ です。なので、半径は $r = \sqrt{-\gamma + \dfrac{\alpha^2}{4} + \dfrac{\beta^2}{4}}$ となります。
 楕円の方程式は、以下のように表されます。 \[\frac{x^2}{a^2} + \frac{y^2}{b^2} = 1  (a \gt 0, b \gt 0)\] この式を図に示すと、以下のようになります ( $a > b > 0$ とした場合)。 楕円 楕円の方程式は、円の方程式変形することで、導出することができます。勘のいい方は、円の方程式をx方向かy方向に何倍かすると、楕円の方程式になるとお気づきかもしれません。では、確認してみましょう。 中心 $C(0,0)$ の円の方程式は、 $x^2 + y^2 = r^2$ でした。今回は、この円をx方向には何もせず、y方向に $\dfrac{b}{a}$ 倍してみましょう。y方向に $\dfrac{b}{a}$ 倍するということは、 $y$ は $\dfrac{b}{a}y$になり、x方向は何もしないので $x$ は $x$ のままになりますね。つまり、 $x^2 + (\dfrac{a}{b}y)^2 = a^2$ (計算の都合上、変形前の元の円の半径を $a$ としています)となります。この式を変形すると $x^2 + \dfrac{a^2}{b^2}y^2 = a^2$ $\dfrac{x^2}{a^2}+\dfrac{y^2}{b^2} = 1$ 楕円の方程式が求まりました。y方向はそのままで、x方向を変化させてもよいですが、その場合は元の円の半径を $b$ とおいてください。 さて、先ほどの方法以外にも、楕円の方程式を求める方法があります。それについて、解説しましょう。 楕円は、「2つの定点( $F,F'$ )からの距離の和が一定になる動点の軌跡」です。この定点 $F,F'$ のことを、焦点といいます。下の図のように、動点 $P(x,y)$ を楕円上のどこに動かしても $FP + F'P = 一定の長さ$ になります。 楕円 2つの焦点を $F(c, 0)$、 $F'(-c, 0)$ として、また、計算の都合上、$FP + F'P$ の長さを $2a$ とすると、動点 $P(x,y)$ の軌跡の式は、次のようになります。 $FP + F'P = 2a$ ここで、三平方の定理から $FP = \sqrt{(x-c)^2+y^2}$、 $F'P = \sqrt{(x+c)^2+y^2}$ とおけるので、この式は $\sqrt{(x-c)^2+y^2}+\sqrt{(x+c)^2+y^2} = 2a$ となります。この式を変形すると $\sqrt{(x-c)^2+y^2} = 2a - \sqrt{(x+c)^2+y^2}$  両辺を2乗して $(x-c)^2+y^2 = 4a^2-4a\sqrt{(x+c)^2+y^2}+(x+c)^2+y^2$  この式を展開して $a\sqrt{(x+c)^2 + y^2} = a^2 + xc$  両辺を2乗して、整理して $(a^2 - c^2)x^2 + a^2 y^2 = a^4 + c^2 x^2$  両辺を$(a^2 - c^2)a^2$で割ると $\dfrac{x^2}{a^2} + \dfrac{y^2}{a^2 - c^2} = 1$ ここで、$b^2 + c^2 = a^2$ なので、$\dfrac{x^2}{a^2} + \dfrac{y^2}{b^2} = 1$ となって終了なのですが、本当に $b^2 + c^2 = a^2$ となるかか確認しなければなりません。これには、楕円の焦点についてもう少し深く考える必要があります。 「楕円上の点から $F(c, 0)$ までの距離と $F'(- c, 0)$ までの距離の和は、常に一定である」というのが、楕円の定義でした。ということは、楕円上の点 $(0, b)$ から $F(c, 0)$ と $F'(- c, 0)$ までの距離の和 $2 \sqrt{(c^2 + b^2)}$ と、楕円上の点 $(a, 0)$ から $F(c, 0)$ と $F'(-c, 0)$ までの距離の和 $(a - c) + (a + c)$も等しくなりますね。 楕円 つまり、 $2 \sqrt{(c^2 + b^2)} = (a - c) + (a + c)$ となります。これを変形すると $c = \sqrt{(a^2 - b^2)}$ となります。これで、$b^2 + c^2 = a^2$ となることが確認できましたね。 このように、焦点 $F(c, 0)$ は $(\sqrt{(a^2 - b^2)}, 0)$ とおけるのです。また、同様の方法で、もう一方の焦点 $F(-c, 0)$ は $(- \sqrt{(a^2 - b^2)}, 0)$ となります。
 これまでに図形を媒介変数表示で表す方法を学んできましたたが、これを使って特殊な図形を表現してみましょう。 円の方程式は以下のようになりますね。この式の $r$ が円の半径を表すこともご存知かと思います。 \begin{eqnarray} \left\{\begin{array}{l} x = r \cos \theta \\ y = r \sin \theta \end{array}\right.\end{eqnarray} さて、この半径$r$が、$\theta$の関数として変動する($\theta$:媒介変数)と、どのような軌跡を描くでしょう。下の式を見てみてください。 \begin{eqnarray} \left\{\begin{array}{l} x = e^{\theta} \cos \theta \\ y = e^{\theta} \sin \theta \end{array}\right.\end{eqnarray} この式と円の媒介変数表示の式をよく見比べてみると、$r = e^{\theta}$になっているのがわかるでしょう。rは一定の定数ですが、$e^{\theta}$は θの値によって変化します。$\theta$がだんだん大きくなっていく($\theta : 0 \leqq \theta \leqq 2\pi $)とき、$e^{\theta}$もだんだん大きくなっていきますね。 つまり、回転するたびに半径がだんだん大きくなっていきます。この式は「らせん」を表します。それでは図に示してみましょう。 ちなみに、$r = e^{-\theta}$のときはだんだん半径が小さくなりながら、回転していきますね。
 サイクロイド曲線は、下の動画のように円がある線上を滑ることなく転がる時に、その円の円周上の1点が描く軌跡なんです(下の画像をクリックすると、サイクロイドの動画が見られます)。   サイクロイド曲線の媒介変数表示($\theta$:媒介変数、$a$:正の定数)は以下のようになります。 \begin{eqnarray} \left\{\begin{array}{l} x = a (\theta - \sin \theta) \\ y = a (1 - \cos \theta) \end{array}\right.\end{eqnarray} 上の式の簡単に導出できます。下の図を使って解説していきます。 サイクロイド 半径 $a$ の円が x軸上を滑ることなく転がっています。少し転がった時の円の中心を $C$ 、そこからx軸に向かって下した垂線とx軸の交点を $A$ とします。円周上の定点 $P$ は原点 $O$ からスタートして、円が転がるとサイクロイド曲線を描いていきます。 ここで位置ベクトル $\overrightarrow{ OP }$ に着目して、これを $a$ 、$\theta$ を使って表せないか考えてみます。 まず、円が転がった長さ($OA$)= 弧の長さ($\stackrel{\huge\frown}{AP}$)となるので $OA = \stackrel{\huge\frown}{AP} = a \theta$ 点$P(x, y)$ の位置ベクトル $\overrightarrow{ OP }$ は $\overrightarrow{ OC }$ と $\overrightarrow{ CP }$ の足し合わせで表せるので $(x, y) = \overrightarrow{ OP } = \overrightarrow{ OC } + \overrightarrow{ CP }$   $= (a \theta, a) + (-a \sin \theta, -a \cos \theta)$   $= (a (\theta - \sin \theta), a (1 - \cos \theta))$ よって、サイクロイド曲線の媒介変数表示が以下のように表せることが分かりました。 $\begin{eqnarray} \left\{\begin{array}{l} x = a (\theta - \sin \theta) \\ y = a (1 - \cos \theta) \end{array}\right.\end{eqnarray}$
 次に、アステロイド曲線の媒介変数表示と図を見てみましょう。 \begin{eqnarray} \left\{\begin{array}{l} x = a \cos^3 \theta \\ y = a \sin^3 \theta \end{array}\right.\end{eqnarray} 媒介変数表示された曲線の面積を出してみましょう。 曲線 $ \begin{eqnarray} \left \{ \begin{array}{l} x = f(\theta) \\ y = g(\theta)  (\alpha ≦ \theta ≦ \beta) \end{array} \right.\end{eqnarray} $ とx軸に囲まれた部分の面積を考えてみます。 このとき、この曲線の面積をyの式で表すと、$y = h(x)$ と表されることにします。 すると面積Sは $S = \int_a^b y dx $ と表されます。 この曲線は上記の通り、媒介変数表示で表されることが分かっているので、$\theta$ で置換積分できます。 $S = \displaystyle \int_a^b y dx = \int_\alpha^\beta y \dfrac{dx}{d \theta} d \theta$ このような流れで、媒介変数表示された曲線の面積を出すことができます。 それでは、この知識を使ってアステロイド曲線の面積を出してみましょう。 アステロイド曲線は以下のように媒介変数表示されます。 $ \begin{eqnarray} \left \{ \begin{array}{l} x = a \cos^3 \theta \\ y = a \sin^3 \theta  (a > 0, 0 ≦ \theta ≦ 2 \pi) \end{array} \right.\end{eqnarray} $
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