「微分する」というのは、文字の通り、「微小に分ける」ことです。微小に分けることで ある瞬間の変化率を求める のです。下のグラフを見てください。
このピンクの曲線は $f(x) = x^2$ を表しています。ここで、$x$ が $1 \rightarrow 4$ に変化するのときの平均変化率を調べてみます。平均変化率は、以下のように表されます。
\[\dfrac{f(b) - f(a)}{b - a}\]
ある関数 $y = f(x)$ の $x$ が、$a$ から $b $まで変化するとき、$y$ は $f(a)$ から $f(b)$ まで変化します。このとき、$x$ の増分に対する $y$ の増分の比を平均変化率といいます。
$x$ が $1$ のとき $y$ は $1$ 、$x$ が $4$ のとき $16$ なので、平均変化率は $\dfrac{16-1}{4-1}=5$ となりますね。
では、次も同じように考えられるでしょうか。
ピンクの曲線は今回も $x^2$ です。ここで、$x$ が $x \rightarrow x + Δx$ に変化するときの平均変化率を調べてみます。$x$ の値が $x$ のとき $y$ の値は $x^2$ です。$x$ の値が $x + Δx$ のとき、 $y$ の値は $(x + Δx)^2$ なので、平均変化率は $\dfrac{(x + Δx)^2-x^2}{Δx}$ となりますね。
導関数とは「ある瞬間の変化率」を表すのでした。$x \rightarrow x + Δx$ の $Δx$ を限りなく小さくするとある任意の $x$ での傾きが求まるのです。下のグラフで考えてみましょう。
このグラフでは $Δ x$ をずっと小さくして、$x$ が 3 のときの傾きを調べようとしています。オレンジの部分($x=3$ のあたり)を拡大したのが右のグラフです。$x$ が 2.99 から 3.01 での傾きを調べると、$x$ が2.99 のとき 8.9401、 $x$ が 3.01 のとき 9.0601 となるので、傾きは $\dfrac{9.0601-8.9401}{3.01-2.99} = \dfrac{0.12}{0.2} = 6$。つまり、$x=3$ のときの導関数は $f'(3)=6$ 。この傾きこそが導関数なんです。
導関数を式で表すと以下のようになります。
\[\displaystyle \lim_{ Δ x \to 0 } \frac{(x+Δx)^2-x^2}{Δx}\]
数学では「ある瞬間の変化率」を 導関数 といい、 $f'(x)$ と表します。ここでは、この導関数について詳しく説明していきます。
あらゆる関数の導関数 $f'(x)$ がこの公式から導き出されています。
関数 $f(x)$ と定数 $a$ に対して、$x = a$ における微分係数 $f'(a)$ は次の式で定義されます。
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一般的な関数の導関数は公式としてまとめられています。下の表に示すのは数ある導関数の公式の一部ですので、しっかり使いこなせるようにしましょう。
$f(x)$ | $f'(x)$ |
---|---|
$x^\alpha$ | $\alpha x^{\alpha -1} (\alpha : 実数)$ |
$\sin x$ | $\cos x$ |
$\cos x$ | $-\sin x$ |
$\tan x$ | $\dfrac{1}{\cos^2 x}$ |
$e^x$ | $e^x$ |
$a^x$ | $a^x \log a$ |
$\log x$ | $\dfrac{1}{x} (x>0)$ |
$\log f(x)$ | $\dfrac{f'(x)}{f(x)} (f(x)>0$ |
関数同士を掛けたもの、割ったものを微分するときの公式です。
$f(x)$ | $f'(x)$ |
---|---|
$f(x)\cdot g(x)$ | $f'(x)\cdot g(x)+f(x)\cdot g'(x)$ |
$\dfrac{g(x)}{f(x)}$ | $\dfrac{g'(x)\cdot f(x)+g(x)\cdot f'(x)}{f^2(x)}$ |
微分の基礎の中でも特に重要な考え方である合成関数のその微分法について解説します。
関数 $f(x)$ と $g(x)$ があるとき、$f$ と $g$ の合成関数と以下のように表します。
$ f \circ g = f(g(x))$
一般的に $g(f(x))$ と $f(g(x))$ は異なります。つまり、関数の合成では交換法則は常には成り立ちません。しかし、結合法則は常に成り立ちます。
$f \circ (g \circ h)=(f \circ g) \circ h$
合成関数の微分は以下のように表されます。
\[\dfrac{dy}{dx} = \dfrac{dy}{dt}\cdot \dfrac{dt}{dx}\]
いろいろな関数の導関数 $f'(x)$ を下の表にまとめます。
$f(x)$ | $f'(x)$ |
---|---|
$\sin^{-1} x$ | $\dfrac{1}{\sqrt{1-x^2}} (-1<x<1)$ |
$\cos^{-1} x$ | $-\dfrac{1}{\sqrt{1-x^2}} (-1<x<1)$ |
$\tan^{-1} x$ | $\dfrac{1}{1-x^2}$ |
$\sinh ax$ | $a\cosh ax$ |
$\cosh ax$ | $a\sinh ax$ |