このサイトを見られている方は、この章の知識は当たり前にあると思います。
が、数学初学者のことも考え、基本的な内容から示していきたいと思います。
微分
「微分する」というのはざっくりいうと、
ある瞬間の変化率を求める ことです。
「ある瞬間の変化率」のことを数学では
導関数f'(x) といいます。
では、この導関数というのはどうやったら計算できるのでしょうか…
まずは下のグラフを見てください。

このピンクのグラフは $$$x^2$$$ です。
ここで、$$$x : 1 \rightarrow 4$$$ のときの平均変化率を見てみると、$$$x$$$ が 1 のとき $$$y$$$ は 1 、$$$x$$$ が 4 のとき 16 なので、その傾きは $$$\dfrac{16-1}{4-1}=5$$$ となりますね。
では、次も同じように考えられるでしょうか?
ピンクのグラフは今回も $$$x^2$$$ です。
ここで、$$$x : x \rightarrow x + Δx$$$ のときの平均変化率を見てみると、
$$$x$$$ のとき $$$y$$$ は $$$x^2$$$ 、 $$$x + Δx$$$ のとき $$$(x + Δx)^2$$$ なので、その傾きは
$$$\dfrac{(x + Δx)^2-x^2}{Δx}$$$ となりますね。

ここで、導関数とは何だったかを思い出してください。
導関数とは 「ある瞬間の変化率」。
$$$x \rightarrow x + Δx$$$ の$$$Δx$$$ を限りなく小さくするとある任意の $$$x$$$ での傾きが求まると思いませんか?。
下のグラフで考えてみましょう。

このグラフでは $$$Δ x$$$ をずーっと小さくして、$$$x$$$ が 3 のときの傾きを調べようとしています。
オレンジの部分を拡大したのが、右のグラフです。$$$x=3$$$ のあたりが見えていますね。直線のように見えるけど、これは $$$x^2$$$ のグラフです。
グラフにある通り、$$$x$$$ が 2.99 から 3.01 での傾きを調べると、$$$x$$$ が2.99 のとき 8.9401、 $$$x$$$ が 3.01 のとき 9.0601 となります。
なので、傾きは $$$\dfrac{9.0601-8.9401}{3.01-2.99} = \dfrac{0.12}{0.2} = 6$$$。つまり、$$$x=3$$$ のときの導関数は $$$f'(3)=6$$$ 。
この傾きこそが導関数なんです。
導関数を式で表すと、
\[\displaystyle \lim_{ Δ x \to 0 } \frac{(x+Δx)^2-x^2}{Δx}\]
となります。
あらゆる関数の導関数 $$$f'(x)$$$ がこの公式から導き出されています。
微分計算の基本
さて、導関数の導出方法を学んできました。
しかし、あらゆる導関数を、いちいちこの方法で導出するのはとても面倒ですね。一般的な関数の導関数は、公式としてまとめられています。
公式を学ぶ際に、学習者の方に私が最も注意していただきたいことがあります。
それは、
公式は覚えるものではなく、使えるようになるもの だということです。
中学生や高校生なら、テストや受験のために公式を覚える必要があるかもしれません。しかし、実際に社会で数学を使う場合には、公式は本やWebサイトで見ればよいのです。
ですが、ある程度使い方に慣れていないと問題を解いたり、応用したりすることはできません。
なので、公式は使えるようになることが最も重要なのです。
\[f(x)\] | \[f'(x)\] |
\[x^\alpha\] | \[\alpha x^{\alpha -1} (\alpha : 実数)\] |
\[\sin x\] | \[\cos x\] |
\[\cos x\] | \[-\sin x\] |
\[\tan x\] | \[\dfrac{1}{\cos^2 x}\] |
\[e^x\] | \[e^x\] |
\[a^x\] | \[a^x \log a\] |
\[\log x\] | \[\dfrac{1}{x} (x>0)\] |
\[\log f(x)\] | \[\dfrac{f'(x)}{f(x)} (f(x)>0\] |
微分の公式
関数同士を掛けたもの、割ったものを微分するときの公式です。
\[f(x)\] | \[f'(x)\] |
\[f(x)\cdot g(x)\] | \[f'(x)\cdot g(x)+f(x)\cdot g'(x)\] |
\[\dfrac{g(x)}{f(x)}\] | \[\dfrac{g'(x)\cdot f(x)+g(x)\cdot f'(x)}{f^2(x)}\] |
合成関数
さて、ここまで基本的な導関数、微分の方法について学んできました。
ここで、微分の基礎の中でも重要な考え方である合成関数について学びましょう。本当に大切な部分なので、理解できるまでしっかり学習しましょう。
合成関数は下記のようにあらわされます。
\[y = \dfrac{dy}{dt}\cdot \dfrac{dt}{dx}\]
特殊な関数の微分計算
いろいろ関数の導関数 $$$f'(x)$$$ を下の表にまとめます。これらは必ず覚えましょう!
\[f(x)\] | \[f'(x)\] |
\[\sin^{-1} x\] | \[\dfrac{1}{\sqrt{1-x^2}} (-1<x<1)\] |
\[\cos^{-1} x\] | \[-\dfrac{1}{\sqrt{1-x^2}} (-1<x<1)\] |
\[\tan^{-1} x\] | \[\dfrac{1}{1-x^2}\] |
\[\sinh ax\] | \[a\cosh ax\] |
\[\cosh ax\] | \[a\sinh ax\] |
微分の公式
微分の公式を下の表にまとめます。これらは必ず覚えましょう!
\[f(x)\] | \[f'(x)\] |
\[f(x)\cdot g(x)\] | \[f'(x)\cdot g(x)+f(x)\cdot g'(x)\] |
\[\dfrac{g(x)}{f(x)}\] | \[\dfrac{g'(x)\cdot f(x)-g(x)\cdot f'(x)}{f^2(x)}\] |
公式確認テスト
では、これまでの公式が使えるかテストしてみましょう。
1) $$$ x^4\cdot \ln3x = [①]x^3 \ln3x + x^4 \dfrac{1}{②}\cdot3 $$$
$$$ = x^3 (4\ln3x + 1)$$$
2) $$$ x^4\cdot \ln3x = [①]x^3 \ln3x + x^4 \dfrac{1}{②}\cdot3 $$$
$$$ = x^3 (4\ln3x + 1) $$$