面積分
積分を使うと、図形の面積や体積を計算できると言いました。
図形の面積や体積が計算できる…だからこそ、積分はその先のあらゆる数学分野の基礎になるんです。
さまざまな研究分野で取得したデータは整理され、グラフ化されます。
このグラフを解析するときに積分の知識が有用になるのです。
さて、この章では円の面積公式を積分を使って導出してみましょう。
(この章の内容を動画で見たい方は、このYoutube動画からどうぞ
※ただし、この動画では円の面積を四分割して計算しています(文章内では二分割で計算))
皆さんは、円の面積が $$$ S = \pi r^2 $$$ となることを知っていると思います。小学校か中学校で習ったでしょう。
では、なぜ円の面積が $$$ S = \pi r^2 $$$ となるかわかるでしょうか。
実はこの公式は積分計算で導くことができるんです。
では、実践してみましょう。
半径 $$$r$$$ の円の方程式は $$$ x^2+y^2=r^2 $$$ です。
これを $$$y$$$ について解くと $$$ y =±\sqrt{r^2 - x^2} $$$ となりますね。この式のプラス側は $$$ y =\sqrt{r^2 - x^2} $$$ ですが、これは下のように円の上半分を表します。

この式を $$$x$$$ で、 $$$-r$$$ から $$$r$$$ まで積分すれば、この半円の面積を計算できますね。つまり、
$$$ \int_{-r}^{r} \sqrt{r^2 - x^2} dx $$$
を計算するんです。
一見ややこしい積分計算ですが、置換積分を使えばすっきりします。
以下のように、 $$$x$$$ を $$$ \theta $$$ に置き換えます。
$$$ x = r\sin \theta (-\frac{\pi}{2} \leqq \theta \leqq \frac{\pi}{2}) $$$
この式の両辺を $$$ \theta $$$ で微分します。
$$$ \frac{dx}{d\theta} = r\cos \theta $$$
さあ、これで $$$x$$$ の式を $$$ \theta $$$ の式に置き換えられそうです。
$$$ \int_{-r}^{r} \sqrt{r^2 - x^2} dx $$$
$$$ = \int_{-\frac{\pi}{2}}^{\frac{\pi}{2}} \sqrt{r^2 - (r \sin\theta)^2} (r\cos\theta) d\theta $$$
$$$ = \int_{-\frac{\pi}{2}}^{\frac{\pi}{2}} r^2 \sqrt{1 - \sin^2 \theta} \cos\theta d\theta $$$
$$$ 1 - \sin^2 \theta = \cos^2 \theta $$$ なので
$$$ = r^2 \int_{-\frac{\pi}{2}}^{\frac{\pi}{2}} \cos^2 \theta d\theta $$$
半角の公式から、$$$ \cos^2 \theta = \frac{1-\cos 2\theta}{2}\ $$$ となるので
$$$ = r^2 \int_{-\frac{\pi}{2}}^{\frac{\pi}{2}} \frac{1-\cos 2\theta}{2} d\theta $$$
$$$ = \frac{r^2}{2} \left[\theta + \frac{\sin 2\theta}{2} \right]_{-\frac{\pi}{2}}^{\frac{\pi}{2}} $$$
$$$ = \frac{r^2}{2} {(\frac{\pi}{2} + \frac{\sin \pi}{2}) - (-\frac{\pi}{2} + \frac{\sin (-\pi)}{2})} $$$
$$$ = \frac{r^2}{2} \cdot \pi $$$
$$$ = \frac{\pi r^2}{2} $$$
これで
半円の面積が $$$ = \frac{\pi r^2}{2} $$$ になることが分かりました。円の面積はこれを2倍して $$$ S = \pi r^2 $$$ となるわけです。