数学にはいろいろな証明方法がありますし、証明に使う道具も様々です。この章では、いくつかの証明方法をご紹介したいと思います。
でも、その前に基礎に触れておきましょう。
まずは、命題です。命題とは、”真偽の判断の対象となる文章または式(Wikipediaから引用)”です。真偽とは、真(正しい/true)と偽(間違い/false)のこと。
命題では、でPを仮定、Qを結論と定義して、このように表します。
「5ならば整数である」「整数ならば実数である」というのが命題です。
では、「整数ならば10である」という命題は真でしょうか、偽でしょうか?
これは…偽になります。1や2や1000や1928473も整数だからです。
「$$$x = 3$$$ならば$$$x^2 = 9$$$である」という命題は真でしょうか、偽でしょうか?
これは…真になります。$$$x = 3$$$ならば、必ず$$$x^2 = 9$$$になるからです。
さて、命題には 逆 裏 対偶 というものがあります。これらの関係図を下に示してみました。
命題 $$$P \Rightarrow Q$$$ に対して
$$$Q \Rightarrow P$$$ は逆
$$$\overline{ P } \Rightarrow \overline{ Q }$$$ は裏
$$$\overline{ Q } \Rightarrow \overline{ P }$$$ は対偶
となります。
ちなみに、$$$Q \Rightarrow P$$$ を命題とすると、
$$$P \Rightarrow Q$$$ は逆
$$$\overline{ Q } \Rightarrow \overline{ P }$$$ は裏
$$$\overline{ P } \Rightarrow \overline{ Q }$$$ は対偶
になります。
感覚はつかめたでしょうか?
ここで、先ほど例として出した命題「$$$x = 3$$$ならば$$$x^2 = 9$$$である」の 逆 裏 対偶 を確認してみましょう。
逆 「$$$x^2 = 9$$$ならば$$$x = 3$$$である」 これは偽。$$$x = -3$$$もあるからです。
裏 「$$$x = 3$$$でないならば$$$x^2 = 9$$$でない」 これは偽。$$$x = -3$$$もあるからです。
対偶 「$$$x^2 = 9$$$でないならば$$$x = 3$$$でない」 これは真。$$$x^2 \neq 9$$$ならば$$$x = \pm 3$$$であり、$$$x = 3$$$は必ず成り立つからです。
命題「整数ならば10である」の 逆 裏 対偶 も確認してみましょう。
逆「10ならば整数である」
裏「整数でないならば10でない」
対偶「10でないならば整数でない」
集合論のところは式で分からなければ
図で考えるようにすると
理解できることが多いです。
図を描いて考えることを心がけましょう。
対偶法
「AならばB」の真偽は「BでないならばAでない」と一致します。
対偶は同値でみたように、命題 p⇒qp⇒q と q ̄ ̄⇒p ̄ ̄ ̄q ̄⇒p ̄ は同値、すなわちこの2つの命題の真偽に関する意味は同じになるので、命題 p⇒qp⇒q を証明する代わりに、命題 q ̄ ̄⇒p ̄ ̄ ̄q ̄⇒p ̄ を証明してもいい。このようないいかえにより、証明する論法のことを対偶法 (contraposition) という。
・等式の証明の方法
A=Bを証明するときは
①Aを変形するとBになる
②Bを変形するとAになる
③AもBも変形するとCになる
④A-B=0
これらのいずれかを証明します。
・不等式の証明法
A≧Bを証明するときは
①A-B≧0
②A≧C,C≧B
これらのいずれかを証明します。
・数学的帰納法
すべての自然数nについて
nについての等式・不等式やnの式の条件を証明するには
(i)n=1のとき条件が成り立つこと
(ii)n=kのとき条件がなりたつと仮定すると
n=k+1のときも条件が成り立つこと
の二つを証明します。